11.10


休刊するつもりだったが、憂さ晴らしに駄文を書くよ。
大体、人は遅かれ早かれ死ぬわけで、俺も例外ではない。
死んだら、何もない。無だ。何もできない。何も感じない。

小学二年生のころ、アニメのルパン三世で悪人が
硫酸のプールで溶けて一瞬にして骨になるシーンを見たとき、
初めてそれに気がついて急に恐ろしくなった。

そのうち、病気がちで一回も学校に来なかった
クラスメートの女の子が死んだ。机の上に花が飾ってあった。

先生は「君たちはまだ死についてまだ分からないと思うけど……」
と悲しそうな声で説明してたけど、俺はあのシーンのことを
思い出したので、わかったような気持ちになってたのを覚えてる。

今でも、たまに夜に眠れないとき、急にあのことを思い出して
大声で「考えるな」と叫び出すことがある。死の恐怖に怯えてる
わけではない。死の恐怖を思い出すことに怯えてるのだ。
考えてみると、俺は二十年間もずっとそんなことを続けてきたのか。

だから、俺には自殺する奴の気持ちが分からない。